はじめに
れぐれぐの痛みのセルフコントロールシリーズ第2弾 今回は腰痛についてのお話です。
その0ではまず腰痛の原因について記載していきたいと思います。腰痛はほとんどの人が一度は経験する痛みで、我々の人生で切り離せない物です。一概に腰痛といっても様々な原因があります。原因のわかる腰痛としては、脊椎(背骨)自体の問題に起因する痛み、腰の神経(脊髄)に起因する痛み、内臓や血管からくる痛みなどがあります。しかし、痛みの原因がはっきりしているものは15%程度であり、原因のわからない非特異的腰痛が85%もあるといわれています。この非特異的腰痛としては、姿勢性や労作による腰への過負荷の影響による慢性腰痛などが考えられます。
今回は原因が分かっている腰痛を中心に記載します。
脊椎や脊髄が原因の痛み
(1)変形性腰椎症
変形性腰椎症とは、加齢に伴って変形した腰の骨の影響によって腰痛が生じる病気です。腰椎に骨棘と呼ばれるとげの様なものが出来たり、腰椎の椎間板が変性して痛みを生じます。
(2)腰椎圧迫骨折
後方に転倒してしりもちを着く事で発症することが多いです。高齢になり骨粗しょう症が進行すると重い物を持ったりくしゃみをするだけで圧迫骨折をする場合もあります。つぶれ方も様々で腰椎の前方が楔形につぶれるタイプや全体的につぶれるタイプ、場合によっては椎体がつぶれて何パーツにも分かれてしまうことがあります。一定期間の安静やコルセットなどが適応となります。
(3)腰椎捻挫
いわゆるぎっくり腰です。背骨(脊椎)のまわりの組織に障害が生じ、急激な痛みが出た状態の事を総称して言います。詳細な検査でヘルニアなどを起こしているか検査が必要です。昔は安静第一でしたが、最近は痛みが増強しない範囲で少しずつ日常生活を続けた方が良いと言われています。ただ、痛みというのは身体が発生している危険アラームなので無理は禁物です。
(4)化膿性脊椎炎
椎体が細菌に感染して炎症を起こした状態。発熱が続いたり進行すると下半身の麻痺や排尿障害などが発生します。
(5)腰椎分離症
腰椎の椎弓部分が断裂して分離してしまう状態です。椎弓の疲労骨折になります。
(6)腰椎すべり症
腰椎すべり症は、先ほどの分離症により上下の椎体間の接続が途切れる事で一部の椎体が前方向にずれてしまう状態です。これが起きると脊柱管を通っている脊髄を刺激して痛みや足のしびれが出ます。コルセットの適応となったり手術療法としては脊柱の固定術などがあります。
(7)腰椎椎間板ヘルニア
椎間板が変性し、一部から中身が飛び出る状態です。飛び出た椎間板が脊髄や神経根を刺激して痛みや神経の麻痺を生じます。運動療法、神経ブロックや手術療法があります。
(8)脊柱管狭窄症
脊柱管が狭くなり、脊髄を圧迫して腰やお尻~足に痛みを生じます。特徴的なのは一定の距離を歩くと痛みが増強し、休むと治る。また前にかがんだ姿勢をとると症状が改善するのが特徴です。治療としては薬物療法、ブロック注射、運動療法、手術によって固定術や神経の圧迫を解放する方法などがあります。
内臓疾患が原因の腰痛
内臓疾患が原因で腰痛を引き起こすものに以下の様なものがあります。
(1)腎臓の病気(腎盂腎炎、尿管結石、腎がんなど)
腎臓は背中側に位置しており、腎被膜に神経があります。腎臓の病気になると腎臓が腫れることがあり、腎被膜が伸ばされることで痛みとして腰痛が出現します。
(2)婦人科系の病気による腰痛(子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣の病気など)
子宮の痛みを感じ取る脊髄の場所と、腰の痛みを感じ取る脊髄の場所が同じであるために関連通として腰痛が出現します。また卵巣に関連した病気(卵巣膿腫など)では、姿勢性腰痛や卵巣の周りの神経や血管、臓器などを圧迫して腰痛が出現します。
(3)血管に起因する腰痛
血管に起因する腰痛として、腹部大動脈瘤があげられます。下降大動脈のうち腹部は丁度背中の腰椎前面に位置しており、ここに大動脈のコブが出来て腰痛として症状が出現します。
(4)心因性腰痛
心因性腰痛として、うつ病を例に挙げましょう。うつ病は脳の神経伝達の不調からくる病気です。うつ病では脳内にあるセロトニン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質が少なくなっており、気分や感情をコントロールしにくくなってきます。またセロトニン、ノルアドレナリンは、普段から痛みの情報をコントロールしていますが、少なくなってくると痛みを普段以上に感じるようになってしまうのです。また、うつ病でなくても心因性として普段からストレスが過度にかかっていると、自律神経が乱れると共に筋肉も緊張した状態となっています。背部の筋緊張が慢性的に高い状態となり血流不全なども相まって腰痛として現れます。
(5)悪性腫瘍
すい臓がんや卵巣がんなど、脊柱に近い部分にがんが起きると腰痛が出る場合があります。脊柱のがん転移もありますがそれほど多くはありません。
おわりに
以上が腰痛の原因でした。今回は基礎情報を記載しましたが、次回からは特にこれら腰痛が慢性化している場合に有効なセルフコンディショニング方法について記載していきますので、ぜひご覧ください。ではまた・・・
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