みなさんこんにちは、今回はスポーツ障害の一つであるジャンパー膝のセルフコンディショニングについて説明します。陸上でハイジャンプをしている自分の子供もなりました(;’∀’)。
結論:ストレッチと筋力トレーニングが大切
ジャンパー膝とは?

ジャンパー膝とは膝蓋靭帯炎(膝蓋腱炎)の事であり、膝蓋骨(お皿の骨)と脛骨をつなぐ靭帯に炎症が生じた状態です。
ジャンプと着地を繰り返すスポーツ(バレーボールやバスケットボールなど)やストップや方向転換などが多いスポーツでは、膝蓋靭帯に大きなストレスがかかります。この繰り返しのストレスが膝蓋靭帯の炎症を引き起こし、痛みを生じてしまいます。
後発年齢は10歳代が多いと言われています。
ジャンパー膝の症状
1.膝のお皿の下(膝蓋靭帯)の痛み
- 膝蓋靭帯を押すと痛みが生じる
- 運動後に痛みが増加する
- 運動中にも痛みが生じる(悪化)
- 階段昇降時やしゃがみ動作で痛みが生じる
2.運動時の違和感
- ジャンプ・ダッシュ・着地などの時に痛む
- 走り始めや方向転換時に痛みが生じる
- 動き始めは痛みが生じるが運動を続けると和らぐことがある(初期段階)
3.重症度分類
ステージ | 症状 |
ステージⅠ | 運動後のみ痛みがある(運動に支障なし) |
ステージⅡ | 運動中・運動後に痛みがでるがプレーに支障はない |
ステージⅣ | 運動中に強い痛みがあり、パフォーマンスが低下 |
ステージⅤ | 腱が部分断裂または完全断裂 |
重症度分類は上記の表の様になります。また、症状が進行してくると
- 膝が腫れることがある(炎症が強い場合)
- 膝が硬く感じ動きが悪くなる(特に朝や運動後)
というような症状があらわれてきます。ステージⅤでは手術が必要になる事もあります。
ジャンパー膝の要因
ジャンパー膝はジャンプなどの繰り返しが直接の原因なのですが、やはり同じスポーツをしていても発症する人としない人がいます。練習量なども大いに関係しますが、その人の筋力や筋肉の柔軟性、姿勢アライメント、体重などが背景要因として挙げられます。
1.筋肉の柔軟性低下
①大腿四頭筋:膝蓋靭帯に直接連結している大腿四頭筋が硬い(短縮している)と、膝蓋靭帯にもストレスが強くかかり症状を引き起こしやすくなります。
②背部の筋群:下腿三頭筋・ハムストリングス・殿筋・背中など、体の後ろ側の筋が硬い(短縮している)。この場合は姿勢アライメントが崩れ、重心が後方に位置する事により膝蓋靭帯へのストレスが高まります(後に記載)
2.筋力が弱い
①大腿四頭筋:大腿四頭筋のうち特に内側広筋の筋力が弱かったり働きにくいと、膝蓋骨の安定性が低下します
②股関節伸展筋力:ハムストリングスや殿筋の筋力が弱い
③体幹筋力:体幹筋力低下により上半身が不安定でありその分膝にかかる負担が大きくなります
3.姿勢アライメントの不良

①後方重心の姿勢
ジャンパー膝の人は身体の重心が足の位置に対して後ろ側にある事が多くみられます(上図aではbに比べ重心が後方)。身体重心が後方にあると相対的に膝に対するストレスが高くなり、障害を発症しやすくなります。筋が短縮している場合や股関節や足関節が硬い場合もあります。
股関節の硬さ:股関節の屈曲(股関節を曲げてくる)に制限がある場合、骨盤が後継し重心が後ろになりやすくなります。
足部の硬さ:足関節の背屈が低下していると後方重心をとりやすくなります。また、足指を含め足部の機能低下は下方からの運動連鎖により姿勢や運動機能全般に影響を及ぼします。
②膝のアライメント不良

図の様に膝を曲げた姿勢を取った際に、Knee Inしている場合があります(図a)。この場合、膝蓋骨に大腿四頭筋の収縮がスムーズに伝わりにくく、膝蓋骨に外向きの力も働き滑走性が悪くなります。
ジャンパー膝のセルフコンディショニング
1.ストレッチング
①大腿四頭筋のストレッチ

片膝立ちになります。
後ろの足首を把持して臀部に近づけながら大腿四頭筋を伸張しましょう。
30秒×2セット
左右行いましょう。
②ハムストリングスのストレッチ

a)仰向けで行う場合
膝の裏に手を回し膝を伸ばしながら足を天井に向かって挙げていきます。
30秒×2セット
左右行いましょう。
b)座位で行う場合
片足を曲げて、足先に手を伸ばします。股関節から体を倒していくイメージで行いましょう。
30秒×2セット
左右行いましょう
③アキレス腱のストレッチ

片膝立ちとなります。
立てた足の踵をしっかり着けた状態で膝を前方に出し足首を反らしていきましょう。
30秒×2セット
左右行いましょう。
④膝蓋骨の滑走性を改善する

足を延ばして座りましょう。
膝のお皿の骨(膝蓋骨)を両手で下方や上方に動かします。
膝蓋骨の滑走性向上と膝蓋靭帯のストレッチになります。

次に左右方向へも動かしましょう。
⑤足部の可動性改善

足の指と手の指を絡めて握り合わせます。2の様に足の指を反らす方向に手で補助してそらします。次に3の様に足指を曲げる方向に手で補助して曲げます。これを繰り返して10回行いましょう。

先ほどの足指を持ったまま、足首をぐるぐる回しましょう。
20回×右回し&左回し
左右行いましょう

次に足を両手で把持します。
タオルを揉むようなイメージで手を前後に動かし、足をもみほぐします。
2.筋力強化
①大腿四頭筋とハムストリングス、殿筋の筋力強化
Quad Setting

膝の下にタオルを巻いて入れます。
タオルを床面に押すように膝座を伸ばしましょう。大腿内側に力が入っているのを感じましょう。
10秒×10セット
ワイドスクワット

足の幅を広くしてスクワットを行います。
膝の痛みが強い時は無理に行わないようにしましょう。
10回×2~3セット
ヒップヒンジEx

足を肩幅程度に開き、お尻をひきながら股関節が90度程度になるように体を前に倒します。
10秒保持して立位に戻る。
これを繰り返し10セット
※後方重心の修正にもなります。
②体幹の筋力強化

うつ伏せになり肘をつきます。
腰をまっすぐ挙げて保持しましょう。
30秒×2セット
上記が安定して可能となったら、さらに片足を挙げて保持しましょう
30秒 左右行いましょう。
3.テーピング療法
テーピングを行う事で痛みの軽減や膝蓋骨の動きを誘導します。

伸縮性のテーピングを20㎝程度用意
膝を90度に曲げておきます。
テープの中間を持ち、膝蓋骨下部の膝蓋靭帯を抑えるようにテープを引っ張りながら横方向に貼ります。
その後は引っ張らずに膝蓋骨の両脇を沿いながら大腿部に向かって貼り付けます。
以下はおすすめのテーピング。おすすめは3Mのマルチポアですが、割と高価です。安さ重視ならC&Gもありです。
おわりに
ジャンパー膝について、症状や要因、セルフコンディショニング方法を記載しました。痛みが生じたらまずは整形外科を受診してください。
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