みなさんこんにちは。今回はあらゆるスポーツで多い足関節捻挫についてのお話です。捻挫はだれでも1回はしたことがあると思いますが、スポーツ選手の場合きちんとその後のケアをしていかないとスポーツのパフォーマンス低下やほかの関節への影響が出てしまいます。
足関節捻挫による損傷部位

足関節捻挫のほとんどが内反捻挫(足裏が内側を向く)です。これは、足先を下げた時に足先が内側を向く構造となっており、構造的に足先が外側を向くよりも可動性が高い為です。

内反捻挫の際に損傷しやすい靭帯としては左図の靭帯で、前距腓靭帯>踵腓靭帯>後距腓靭帯の順番に損傷しやすくなっています。
足関節捻挫の重症度分類
重症度 | 靭帯損傷の程度 | 主な症状 | 腫れ・内出血 | 歩行への影響 | 治療・対応 |
---|---|---|---|---|---|
1度(軽度) | 靭帯の微細な損傷・軽い伸び | 軽い痛み・違和感 | 軽度 | 可能(やや不安定) | RICE処置、早期リハビリ |
2度(中等度) | 靭帯の部分断裂 | 明らかな痛み・不安定感 | 中等度(腫れ・内出血) | 歩行困難(痛みあり) | RICE処置、装具使用、リハビリ |
3度(重度) | 靭帯の完全断裂 | 強い痛み・関節の不安定感 | 強い腫れ・広範囲の内出血 | 自力歩行困難 | 専門医受診、ギプス固定、リハビリ、手術の可能性 |
⚠ 受傷直後は、1度と2度の区別が難しい場合があるため、正確な診断のために専門医を受診することを推奨します。
治療法(応急処置)
RICE処置(Rest, Ice, Compression, Elevation)を早期に実施することが重要です。
✅ R(Rest):安静 → 損傷を悪化させないために運動を中止し、負荷を避ける。
✅ I(Ice):冷却 → 15〜20分間、氷で冷やし、炎症を抑える(1時間おきに繰り返す)。
✅ C(Compression):圧迫 → テーピングや包帯で圧迫し、腫れを抑える。
✅ E(Elevation):挙上 → 足を心臓より高く上げ、血流を促進して腫れを軽減する。
⚠ 捻挫が重度の場合は、速やかに専門医の診断を受けること!
リハビリ
リハビリは段階的に進めることが重要です。
🔹 第1段階(急性期:受傷直後~2週間)
- RICE処置を継続
- 痛みのない範囲で可動域訓練(足首の回旋・底背屈運動)
- 足趾(つま先)を使ったタオルギャザー
足の回旋運動

足首の回旋運動です。最初は内反(足を内側下方にねじる)したときに痛みや不安感が強く出るので、無理しない程度に軽く痛みのない範囲でゆっくり回しましょう

背屈は足首をそらす運動です。捻挫後は足首の周りが腫れたりむくんだりするので、この運動が制限されていることがあります。
底屈は足先を下に下げる運動です。足首は足先を下げると内側を向く複合運動がおこります。内反捻挫の場合はこの動きで痛みや不安定感が出やすいので、無理せず少しずつ行いましょう

左はタオルギャザーExです。タオルの上に足を置き、足指を曲げる運動でタオルを手繰り寄せます。最初は座位で行い、慣れてきたら立位でも行えるようにしましょう。
足裏の筋力を鍛え、足の縦アーチがしっかりして歩行時の安定性向上します。
🔹 第2段階(回復期:2〜4週間)
- チューブを使った足関節の筋力トレーニング

・背屈運動
両足にセラバンドをかけ、運動する側の足を少し近位においておき、足先を上にそらす。
20回×2~3セット
※両足にセラバンドをかけるのではなく、片方をベッドの脚などに縛り付けておくとやりやすい。

・底屈運動
足先にセラバンドをかけて手で持つ
足先を下に下げる
20回×2~3セット

・外返し運動
両足の先にセラバンドを巻く
両足先を外に開くようにして外返し運動
20回×2~3セット
- 立位でのトレーニング

・フロントランジ
捻挫側の脚を前に出して体重をかける
最初は不安定感があるため注意して行う
・サイドランジ
捻挫側の脚を外に出して体重をかける

・カーフレイズ
椅子の背もたれにつかまりながらかかとを持ち上げる
20回×2~3セット
※余裕が出てきたら片足ずつ
・片足立位での軽いスクワット
片足立ちになり軽く膝を曲げる
20回×2~3セット
- 軽いジョギングを開始してみる
🔹 第3段階(競技復帰期:4週間〜)
- ダッシュ・カット動作・ジャンプトレーニング
- スポーツ動作に近いアジリティトレーニング(ラダー、コーンワーク)
4. 再発予防
捻挫の再発を防ぐためには、以下のポイントを意識しましょう。
✅ 足関節周囲の筋力強化
- ヒラメ筋・腓骨筋の強化(カーフレイズ、チューブトレーニング)
- 足趾のグリップ力向上(タオルギャザー、ビー玉つかみ)
✅ バランストレーニングの継続
- 片足立ち(不安定な面など)
- バランスディスクなどの使用
✅ フォーム・動作の改善
- 着地時の足首の角度・使い方を意識する
- 重心移動やカット動作の修正(スポーツ動作の分析)
✅ サポートアイテムの活用
- テーピングや足関節サポーターの活用
- 適切なシューズ選び(グリップ力・クッション性) 厚底シューズは捻挫になりやすいので注意
まとめ
足部の捻挫は適切な治療とリハビリを行うことで、早期回復・再発防止が可能です。特にスポーツ選手は、足関節の安定性を高めるためのトレーニングを継続することが重要です。
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