ぎっくり腰は多くの方が経験する腰痛の一つです。本記事ではその原因や症状、自分でできるセルフコンディショニング方法について記載しています。
ぎっくり腰とは?
「ぎっくり腰」という医学用語はありません。日本整形外科学会HPでは、「急に起こった強い腰の痛みを指す一般的に用いられている名称(通称)」と記載されています。
ぎっくり腰の原因と症状
原因
背骨(脊椎)の周囲の組織が強いストレスにより損傷する事で発症する。検査などで特定の原因が分からない場合が多い。
- 椎間関節の損傷
- 椎間板の損傷(ヘルニアを含む)
- 脊柱を支える筋肉、靭帯、腱、膜などの軟部組織の損傷(腰椎捻挫など)
発症の誘因
- 急に重い物を持ち挙げた時
- 強く体をひねった時
- 交通事故
- くしゃみをした時
- つまづいた時
- 前かがみの姿勢から伸び上がろうとした時
- 特に何もしなくても起こる場合もある
など、誘因としては様々である。
症状
背骨の真ん中や片側に激しい痛みで、数日~数週間して自然と治ることが多い。下肢にしびれなどを伴う場合はヘルニアを併発している場合もある。
鑑別
一般的にぎっくり腰は急性腰痛症のうち原因のわからない非特異的腰痛の事で、数週間で治るものを指しています。但し、腰痛症といっても原因は様々であり、下記の様な原因のものと鑑別が必要です。特に原因が思い当たらない場合や数週間しても治らない場合、神経症状(下肢へのしびれなど)は早急に受診をお勧めします。
- 尿路結石
- がんの腰椎転移
- 化膿性脊椎炎
- 膵炎
などなど
ぎっくり腰のセルフコンディショニング
ここでは、ぎっくり腰の中でも「腰椎捻挫」を中心にセルフコンディショニングについて記載します。
急性期
発症直後~数日の間は、痛みで動けない事が多い。損傷部位を守るために筋肉が痙縮し、炎症により熱感を持つこともある。筋肉の攣縮が続くと循環不良により痛みが改善しにくくなる。
薬の使用:痛み止めの内服薬や経皮的消炎鎮痛薬(いわゆる湿布)が処方されていれば積極的に使用する。
コルセットの着用:腰痛用のコルセットを使用する事で、損傷部位を保護して痛みが緩和できます。但し、コルセットは急性期を中心として痛みが軽減したら徐々に使わないようにしていきます。
安楽な姿勢の保持
痛みが少ない姿勢は人により異なります。
- うつ伏せ
- 仰向けで膝下にクッションを入れた姿勢
- 横向けの姿勢(足の間にクッションを入れると良い)
など、仰向けでは膝下、横向きでは足の間に長座布団などを折り畳んで挟むと良いでしょう。
亜急性期以降
2週以降で痛みが和らいで来たら徐々に運動を始めます。
ストレッチは筋緊張を取り除き痛みの緩和と柔軟性改善により再発予防を促します。
①腰背部のストレッチ

緊張が高まった腰背部の筋肉をストレッチします。
30秒×2セット
②臀部外側のストレッチ

座った姿勢から片方の膝を立て、反対の膝の外側に足を付きます。
写真の様に膝を抱えて反対側へ倒すようにしてお尻の外側をストレッチします
30秒×2セット
左右行いましょう
③股関節前面と太もものストレッチ

片膝立ちとなり、股関節前面のストレッチと反対側の臀部をストレッチします。
30秒×2セット
足首を持ち太もも前面をストレッチします
30秒×2セット
④足裏(ハムストリングス)のストレッチ

仰向けで行う場合は上の写真の様に片膝の裏に手を当てて足を天井に向かって伸ばします。
30秒×2セット
さらに座った姿勢で片足を伸ばし、身体を倒します。
この時股関節から倒していくイメージで行います。
30秒×2セット
体幹筋力トレーニングは再発予防として重要です
①ドローイン

体幹内部の筋トレとしてドローインが有効です。
左の写真の様に、お腹を凹ませながら息を吸います。
その後お腹を凹ませたままでゆっくり息を吐きましょう
②お尻挙げ練習

仰向けで膝を立て、お尻を持ち挙げます。
ゆっくり挙げてゆっくり下ろします。
10回×2セット
ぎっくり腰の予防
ぎっくり腰は不意に起こるため、気を付けていてもなかなか難しいです。しかし、日常生活で一定の注意を払う事で予防が可能です。特にぎっくり腰を繰り返し易い人は、以下の様な動作の習慣を心がけると良いでしょう。
- 床から物を拾う時は、必ず膝を曲げて拾いましょう。
- 重い物を持ち挙げる時は、腰を落としてから持ち挙げましょう。
- 朝起きた後、できるだけ腰部のストレッチを行ってから動き出す。(起きた直後は体が硬くなっており無理をかけやすいため)
- 顔を洗う時は膝を曲げて洗う
- 長い時間、座位姿勢を取らないようにする
- 急に伸びたり腰をひねったりしない
まとめ
ぎっくり腰の原因、症状、セルフコンディショニングについて記載しました。ぎっくり腰は急性腰痛症の通称であり、特定の原因が分からないことが多い。症状は数週間で改善する事が多い。予防としてストレッチや筋力トレーニング、日常生活での動作の工夫などがある。
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