みなさんこんにちは、本日は中学生や高校生くらいの年齢で起こりやすいシンスプリントについて簡単に説明します。
シンスプリントってなに?
シンスプリントはすねの内側が痛くなるケガのことです。正式には「脛骨過労性骨膜炎(けいこつかろうせいこつまくえん)」といいます。
主に運動をたくさんする人に起こりやすいケガで、特にランニングやジャンプをする部活(陸上、バスケ、サッカーなど)の人に多いです。
原因
シンスプリントの主な原因は、脛骨(すねの骨)に付着する筋肉や腱の過度な牽引によって骨膜に炎症が生じることです。具体的な要因は以下の通りです:
姿勢やフォームの問題:ランニングやジャンプ時のフォーム不良、フォームの変更
オーバーユース(使い過ぎ):急激なトレーニング量の増加、トレーニング内容の変更、休養不足
不適切なトレーニング環境:硬い地面での運動、クッション性の悪いシューズ
身体的要因:扁平足、回内足(足首が内側に傾く)、下腿の筋力不足、関節や筋の柔軟性低下
特に、学校で部活が始まった春先に起こりやすい症状で、急に運動量が高くなることが原因と考えられます。
病態:下腿内側筋群(ヒラメ筋を主として後脛骨筋、長趾屈筋)の柔軟性が低下し、筋の付着部が脛骨の表面を覆う骨膜を牽引して微細損傷をする事で骨膜炎をきたし、下腿内側の痛みを発生させるものと考えられます。
症状と重症度
徐々に発生する下腿内側(足の内側くるぶしより12~20cm上)の圧痛、運動時痛、腫張が主症状です。評価のポイントとしては
- 広範囲(5㎝以上)にわたる痛み→シンスプリントの可能性がある。逆に1点集中的な痛みの場合は疲労骨折などの可能性もある。
- 腫脹や熱感がある場合は、炎症が強い状態
- その場ジャンプ・片脚ジャンプ・軽いランニングで痛み再現があれば中等度以上
特に疲労骨折との鑑別が重要であり、疑わしい症状がある場合は医療機関を受診することが大切です。
症状の重症度
グレード | 痛みのタイミング | 運動継続の可否 | 備考 |
グレード1(軽度) | 運動後にすねの内側に痛みがあるが、運動中は痛みなし | 運動可能 | 違和感レベル、初期段階。休養と軽いリハビリで改善しやすい |
グレード2(中等度) | 運動中にも軽い痛みを感じるが、運動は続けられる | 運動可能だが制限あり | 部に圧痛あり。トレーニング量の調整が必要 |
グレード3(やや重度) | 運動中の痛みが強くなり、パフォーマンスに支障が出る | 運動困難 | 痛みが継続する。リハビリ中心の対応が必要 |
グレード3(重度) | 安静時でもすねの痛みがある。運動不能 | 運動禁止 | 疲労骨折のリスク大。MRIや骨シンチグラフィーによる精査が必要 |
治療法
基本は保存療法となります。
①安静:症状のある期間は運動の中止または制限
②アイシング:運動後や痛みが強いときに冷却(15~20分)
③消炎鎮痛薬の使用(必要に応じて)
④物理療法:超音波、低周波治療など
⑤フォームの見直し・靴の再検討
リハビリ
筋肉を強くしたり、関節や筋肉をわらかくしたりするリハビリが大事です。
A.痛みがある初期段階
① 腓腹筋のストレッチ

片足を後ろに引き、かかとをつけたままアキレス腱をのばすようにします。
左右30秒ずつ×2回。
② ヒラメ筋のストレッチ

片膝立てをします。その状態から手を膝について膝を前に出していきます。この時後ろ足は踵をしっかりつけたままストレッチをしましょう。
左右30秒×2回
③後脛骨筋ストレッチ

足首を上に反らします。この時小指側を斜め上に反らす様にしましょう。
左右30秒×2セット
B.痛みが和らいで来たら
④タオルギャザー

足の痛みが軽減してきたら、床にタオルを置いて、足の指でたぐりよせます。足の筋肉をバランスよく鍛えます。
④ 足関節底屈運動

立位の状態で足首を上げる運動、踵を上げる運動を行います。痛みが生じない範囲で行いましょう。
最初は両足で行い、楽にできるようになったら片足でも行いましょう。
左右20回×2セット
⑤ 片足スクワットトレーニング

片足でのバランスをコントロールしながら足首と膝の協調性トレーニング。
まず、片足で立ちましょう。
20秒程度片足立位が安定してできる事を目指します。
安定してできたら、次にゆっくり軽く膝を曲げ伸ばしをします。この時も体幹がぐらぐらしない様に注意してください。(膝が内側や外側に向かない様に注意)
左右5回×2セット
痛みがなく慣れてきたら回数をふやしましょう。
C.両足でのジャンプで痛みが生じなくなったら
⑥ 軽いジョギングから再開
痛みがなくなってから、いきなり全力で動かず、まずは軽いジョギングやウォーキングから再スタートするのが大切です。
まとめ
シンスプリントは無理をすると長引いてしまうこともあります。「ちょっと痛いけど大丈夫」と我慢しないで、早めに休むことがいちばんの治療です。疲労骨折との鑑別が必要なため痛みが生じたら悩まず病院を受診してください。
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